食品工場ナリアちゃんのつぶやき

 いや、いいのだ。誰も読んでくれていなくとも。日記的に書いていれば気持ちが落ち着くからね。毎日、それはストレスだよ。だって日本の会社なのにみんな全然日本語話そうとしないもの。片言しか理解して貰えてないのに、旧態然としたシステムでどうやって仕事を進めるって言うんだよ。

 

 上司2人はいつも運営の事務で手一杯で、現場に現れる時間は少ない。先輩社員達は改善改革なんてやる気のない人ばかり。外国人に積極的に関わろうとなんかしていない。

 あとさ、現場に入らないくせに口出しはして、なんなら見てもいないのに勝手な思い込み好き嫌いで人員スケジュールも作ってて、いざとなると私はシニアだからあなたの上司ではない、と言うめちゃくちゃなわからないボケ老人が、2人も事務所に居座ってるし。

 

 店舗で、同じ売り上げ目標に向かって、いい売り場、風通しのよい厨房をみんなで作ろうっていう、あの仕事に戻れるものなら戻りたい。

 

食品工場ナリアちゃんのつぶやき

 私は町のカジュアル蕎麦屋が好きだ。ハンバーガーショップファミリーレストラン、回転寿司やラーメン屋も行くけど、同じチェーン店でも店舗によって個性の出る蕎麦屋は面白い。

 

 限られたスペースで、どれだけ美味しいものが出せるか、効率よく利用してもらえるか、配置や扱う品などが本当によく考え抜かれているなと思う。

 同じ蕎麦でも細麺・太麺、柔らかめ・硬め、出汁は何を使っているか、味付けは、かき揚げの揚がり具合は、器は、カウンターやテーブルは、薬味は、などなど可能性は無限にある。

 

 スタッフの対応も人によっては大切なポイントだと思う。時々寄るターミナル駅中のスタンド蕎麦屋があるのだが、そこの店長さん(多分)が最近中国人になった。キッチンでは他に日本人らしい女子学生風アルバイトと主婦っぽいパートさんに替わっている。

 その、店長さん(多分)の気配り心くばりがとてもほっこりするのだ。常にお客さんが快適に食事出来るよう、中のスタッフさん達が働きやすいよう、動いている。

 そしてセルフの蕎麦が出来上がると「冷やしきつね、ソぉッバァ〜!で、おまちのおかくさまァ〜!おまたスぇました〜!」と独特な中国語なまりで明るく店内お声かけしている。

 

 5・6年前、町の蕎麦屋さんの厨房に外国人のスタッフがいると、正直、え〜和食なのにな、大丈夫なのかな…と思ったりしたものだが、今はもう普通になっているし、上記のお店のように、店の中心人物となって活躍し、美味しいお蕎麦をたくさんのお客さんに提供し続けている人もいるのだ。実際ここのお蕎麦は丁寧でうまい。

 作るメニューが和食であっても、例えば魚の切り身は皮が上、とかゴマは品よく仕上げに少しだけ、とか細かく根気よく伝えれば、やがてそういうものと理解してくれるし、言葉や文化や顔つきがが違っても、あたりまえなのだが、良心はみな同じように持っている。

 

 色々と軌道修正しなければならない事があっても、丁寧に、根気よく、ひとりひとりに敬意を持ってこれからも接していきたい。

 

食品工場ナリアちゃんのつぶやき

 今日、休日だったので千葉の鋸南町に住む方にお会いし、地元では有名らしい鎌倉時代の興味深いお話を伺った。

 

 頼朝が鎌倉幕府を開く前、石橋山ふもとの海岸から小船で房総半島の鋸南町にある小島へ流れ着いた際(場所については諸説あるらしい)、地元農民に手厚くもてなされたため、のちに「そなた達へ安房(の領地)を進呈しよう」と言ったらしいが、農民は聞き違えてしまい、「ワシらは穀物の粟なんかいらねぇ、名乗る姓が欲しいんじゃ」と答えたらしい(笑)。

 それを聞いた頼朝、「そうか、バカじゃのぉ(笑)」と言ったらしいが、農民はまたまた取り違えてしまい、鋸南町には現在でも「左右加」さん・「馬賀」さん姓の方々がいるそうだ。もっとも、「馬賀」さんについては他説あって、なんでも頼朝にたいへん良い馬を差し上げた家だったから、というものらしい。

 

 聞いていてほっこりする、落語のようなお話しだったが、ふだんほとんど日本語の通じない外国人の方々と働いている身としては、こういった言い回しの勘違いみたいなことが起こらないよう(笑い話ですむようなリカバリー出来るものならかえって楽しいコミュニケーションがとれて良いかもだが)、これからも気をつけないとなとふと思ったのだった。

 

食品工場ナリアちゃんのつぶやき

 毎日ライン製造されてくるお弁当を眺めていて、なぜスーパーのお弁当って、30年くらい前からこう対して変わり映えのないみな同じような価格帯、同じような内容のものばかり作り続けているのだろう。

 企画をしている人が時代変化に追いつけず、色々アップデートされてないからではないのか。同じ原料を同じメーカーと結託して、昔のまま同じように大量に仕入れて大量につくる。商品に魅力がないので売れ残り、大幅に値引きをしなければ売り場で大量廃棄になる。

 

 沢山の日本語も通じないスタッフを大量に導入し、現場の指導もおろそかになるし、時間も守られず、安全や清潔の観念も乏しい人も多い中、効率は悪くなるばかりで一向に改善されていかない。

 ただ、4ヶ国のスタッフがいるためそれぞれ各国チームがいい意味でスピード感や盛り付けの正確さを競争するミニオリンピック会場のようになっているのは良い点?ではある。

 

 せっかく4ヶ国のさまざまな食文化を持った人々が集まっているのだから、やる気のあるスタッフにはもっと日本語や日本食文化を勉強してもらえる機会をつくればよいと思う。

 そして、自国の食文化や日本で代用できる食材などを逆に教えてもらい、新しいグローバルな視点で魅力あるメニュー開発などにあたって貰えばよいのになと思う。

 

 ちょっとずつ、洗い物など一緒にしながら彼女らと話をする機会があれば是非訊いてみたい、いま一番興味あるところは昨日、何食べたの?である。

 この間はインド料理とネパール料理の違いについて教えてもらい楽しかった。少しずつ、ちゃんとメモしていきたいと思っている。

食品工場ナリアちゃんのつぶやき

 うちの工場には、海外4ヶ国の人たちがクリーンルームに入り、分担してお弁当のライン製造にあたっているが、日々感心するのが異国人同士のコミュニケーション能力だ。

 新しく来た人に、簡単な日本語もわかって貰えないため、なんとか仕事を覚えてもらおうとジェスチャーを駆使して伝えようとするのだが、もうほとんど江頭2:50の「取って、入れて、出す」のアレ状態で側から見たらかなり滑稽だろうと思う。

 

 異国人同士で隣合わせた人に片言の日本語交じりで何か伝えているシーンをよく見かけるのだが、え、今のでお互い通じ合ってたのか、すごいな!と毎度思わされる。

 伝え方が早い。うまく文にして表せないが日本で言葉が通じなくて苦労して来た中得た何かをみんな持っている。

 まるで、雪深い青森地方の人が道端で「どさ」(どちらへ行くのですか)「ゆさ」(銭湯へ行きます)で通じる、あの日本一短い会話のようである。

 

 異国人同士言い合いもする。良い事ばかりではない。怒鳴ったりすることなく、違うと思う事をハッキリ異国人の相手に伝えるのはとても難しいのだが。私も含めて。

 フィリピン人やベトナム人の中には、英語を駆使出来る人も多いのだが、我々日本人が逆に英語が片言なので、もうみんな日本語英語自国語3ヶ国語ちゃんぽんでなんとかしている。

 

 ポケトークもあるのだがいちいちラインの手が止まってしまうのでここではあまり実用的ではない。テレビでG7サミットなど観ていると、どうやって同じ場で同じ内容同時に理解してるのかなと仕組みを知りたくなる。

 

 なかなか国内にいて体験出来ないことをさせてもらってるかも知れない。と、前向きに考えよう。 

 

 

 

 

 

食品工場ナリアちゃんのつぶやき

 うちの工場の従業員休憩室は清潔感がない。

施設が古いのは仕方がない。が、専門清掃の人が2人いて、ゴミ箱はちょっと歩いて戻る範囲にたくさん配置され、毎日アルコール消毒も徹底しているようなのだがいつもなにか汚らしくて食事をしていても寛げず落ち着かない。

 ゴミ箱に捨てられたゴミの状態のせいなのだ。全く分別がされていない。全員とは言わないが、うちで働く外国人のスタッフは仕事時間以外のスペースでゴミを分別しようという意識がないのだ。

 

 仕事をするスペースでは、出したゴミが適切に分別されていないと怒られるのは自分だし、きちんと行われている。

 しかし一歩出て、共用スペースになったとたん、悪気はないのだろうが捨て方のマナーがまるでなってないのだ。しかしこの悪気がない、というところが救いようがない。

 めちゃくちゃな捨て方をされたゴミ箱を片付ける人がいる、とかみんなのスペースを汚くしちゃいけないな、とは思わないのだろうか。

 

 余談、少し話のできる中国人の方と道端のゴミについて笑いながらちょっと話したのだが、中国では、道端に空き缶や古いテレビなど捨てられてもお金になりそうなものは片っ端から拾われるから道路がキレイなのだそうだ。

食品工場ナリアちゃんのつぶやき

 高校時代お世話になった武道の教師が、銀座で書や墨絵の個展を開くらしい。えっ。あの朝稽古や寒稽古、スパルタ授業で蹴ったり殴ったり怒鳴ったり(昔は特に体育の授業などでは割と当たり前の教育だった)恐ろしくてたまらなかった先生が…。

 同窓生のグループLINEが騒然となる。絵も書も達筆なのか。モチーフが龍だったり、ニッポンを全面に押し出した迫力ある作風だ。

 その方は我々の高校で教えた後、アジア各国やヨーロッパ、メキシコなど世界中の国々で日本の武道や文化を伝道する活動をしていらっしゃったらしい。

 

 言葉の通じない国々で、その国の人々が経験したことのないものをいちから教える。

 まして、日本人代表として日本文化を理解して貰えるようきちんと伝えなくてはならない。

 

それは、いま日本の片隅の工場内の閉鎖空間で、外国人たちに囲まれ正しいお弁当の作り方を繰り返し彼らに日々教える経験をしている私にとっては、更にさらにどんだけ神技レベルの難易度かと思う。

 

 仕事のために集まるか、武芸に興味を持ち集まるかの違いはあるだろうけれど、未経験で生活様式の異なる国の人に対して、は同じだし、一人対数十人も同じだ。ものすごい気力と体力と集中力、加えて広い広い心が必要だ。

 

 増して、それが身体を動かすスポーツだなんて…しかも異国、相手の国へ飛び込んで行ってなんて…書道なんかも教えるのだろうか。

 やっぱり、強靭な精神力を持っているであろうあの先生にしか絶対できない超人技と感心するのであった。なんて言うか、歩くクールジャパンのような人だ。

 こんな日々でくじけてはいられない。