食品工場ナリアちゃんのつぶやき

 高校時代お世話になった武道の教師が、銀座で書や墨絵の個展を開くらしい。えっ。あの朝稽古や寒稽古、スパルタ授業で蹴ったり殴ったり怒鳴ったり(昔は特に体育の授業などでは割と当たり前の教育だった)恐ろしくてたまらなかった先生が…。

 同窓生のグループLINEが騒然となる。絵も書も達筆なのか。モチーフが龍だったり、ニッポンを全面に押し出した迫力ある作風だ。

 その方は我々の高校で教えた後、アジア各国やヨーロッパ、メキシコなど世界中の国々で日本の武道や文化を伝道する活動をしていらっしゃったらしい。

 

 言葉の通じない国々で、その国の人々が経験したことのないものをいちから教える。

 まして、日本人代表として日本文化を理解して貰えるようきちんと伝えなくてはならない。

 

それは、いま日本の片隅の工場内の閉鎖空間で、外国人たちに囲まれ正しいお弁当の作り方を繰り返し彼らに日々教える経験をしている私にとっては、更にさらにどんだけ神技レベルの難易度かと思う。

 

 仕事のために集まるか、武芸に興味を持ち集まるかの違いはあるだろうけれど、未経験で生活様式の異なる国の人に対して、は同じだし、一人対数十人も同じだ。ものすごい気力と体力と集中力、加えて広い広い心が必要だ。

 

 増して、それが身体を動かすスポーツだなんて…しかも異国、相手の国へ飛び込んで行ってなんて…書道なんかも教えるのだろうか。

 やっぱり、強靭な精神力を持っているであろうあの先生にしか絶対できない超人技と感心するのであった。なんて言うか、歩くクールジャパンのような人だ。

 こんな日々でくじけてはいられない。